金(ゴールド)の急騰はまだ序盤?過去の歴史から見る現在の立ち位置

金(ゴールド)の急騰はまだ序盤?過去の歴史から見る現在の立ち位置

最近、ニュースなどで「金(ゴールド)の価格が史上最高値を更新」という言葉を耳にする機会が増えました。実際、金価格は過去2年間で119%という驚異的な上昇を記録し、1オンスあたり4,500ドルを初めて突破しています。

この数字を見ると、「もう上がりすぎていて、今からでは遅すぎるのでは?」と感じる方も多いかもしれません。しかし、金を他の資産と比較する「相対的な価値」という視点で見ると、意外な事実が浮かび上がってきます。

ここでは、チャートを読み解きながら、現在の金市場がどのような状況にあるのかを整理していきます。

現金や債券に対しては「歴史的な高値」に到達

まず、金と「現金(キャッシュ)」や「債券」を比較してみましょう。

現金に対する金の価値は、すでに1980年のピークを超えており、1960年代以降で最高水準に達しています。また、米国政府債券(国債)と比較しても、1980年代後半以来の高値を記録しています。

この点だけを見ると、金は非常に割高に映るかもしれません。ただし、これはインフレによって通貨の価値が目減りする中で、価値を保ちやすい資産として金が選ばれている結果ともいえます。

株(S&P 500)と比較すると、まだ「割安」?

一方で、比較対象を「株式」に変えると、景色は大きく変わります。

米国株を代表する指数であるS&P 500と比較した金価格は、2020年のパンデミック以降で最高水準にあるものの、1980年のピーク時と比べると、まだ50%も低い水準にとどまっています。

ここで、過去2年間のリターンを比較してみましょう。

金(ゴールド):119%上昇
米国株(S&P 500):45%上昇
現金:9.7%
債券:マイナス4.0%

金は圧倒的なパフォーマンスを見せていますが、1980年のいわゆる「金ブーム」の時のように、株式に対して圧倒的に優位な状況にまでは達していません。

歴史から見る「上昇の余地」

今回の上昇相場がまだ初期段階である可能性を示しているのが、この「他資産との比較」という視点です。

現在の金価格は、債券と比べても1980年のピーク時より約17%低い水準にあります。もし、金が過去の歴史的なピーク時と同じ水準まで、他の資産に対して評価されるようになれば、今後もさらなる上昇余地があると考えることもできます。

まとめ:冷静な視点で市場を見る

金価格が1オンス4,500ドルを超えたという事実は、確かにインパクトがあります。しかし、「価格が高いかどうか」という数字だけで判断するのではなく、「株や債券と比べてどうなのか」という視点を持つことが重要です。

現金に対しては、金はすでに歴史的な強さを示しています。一方で、株式や債券との比較では、1980年の過去最高水準にはまだ届いていません。

「もう遅い」と決めつけるのではなく、分散投資の一環として、こうした歴史的なサイクルを参考にしながら、金という資産と向き合ってみるのも一つの選択肢といえるでしょう。