【速報】FRBのバランスシートが大幅縮小!「量的引き締め(QT)」終了で私たちの生活はどうなる?
ニュースでよく聞くけど、なんだか難しそうな「FRBのバランスシート」や「量的引き締め(QT)」について、今回はグッと身近に感じられるよう、最新のニュースを交えて解説します。
FRBのバランスシートって何?
まず、「FRB(連邦準備制度理事会)」は、日本でいう日本銀行のような存在で、アメリカの金融政策を決める重要な機関です。
その「バランスシート」とは、FRBが持っている資産と負債の一覧表のことです。簡単に言うと、FRBがどれだけのお金や債券を持っているかを示す家計簿のようなもので、この資産が増えると世の中にお金がたくさん出回り、減ると世の中からお金が引き上げられると考えられています。
グラフで振り返る!コロナ禍前の2つの大きな出来事
下記のグラフをよく見ると、2020年のパンデミックによる巨大な資産増加(QE)が始まる前、2019年頃にも大きな動きがあったことがわかります。ここには、今後の金融政策のヒントとなる重要な出来事が詰まっています。
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2017年~2019年:「QT #1」(最初の量的引き締め)
グラフの2017年後半から2019年にかけて、資産がゆるやかに減少している部分が「QT #1」です。
2008年の金融危機後、FRBは景気回復のために資産を大きく増やしました(量的緩和:QE)。景気が回復してきたため、FRBはこの増えすぎた資産を元の水準に戻そうと、史上初の本格的な量的引き締めを開始しました。
しかし、市場の反発や経済の減速懸念もあり、FRBはこのQTを予定よりも早く、2019年半ばに中止しました。これは、バランスシートを縮小することがいかに難しいかを示す最初の事例となりました。
2019年後半:「レポ市場の混乱とFRBの介入」
「QT #1」が中止された直後の2019年9月頃、グラフは一時的にガクンと下がった後、2020年のパンデミック前までに再び上昇に転じています。この一連の動きが「Repo market blowout(レポ市場の混乱)」です。
レポ市場とは、銀行同士が国債などを担保にして短期間(主に一晩)でお金を貸し借りする市場で、金融システムにとって血液のような役割を果たしています。
2019年9月、このレポ市場で突然お金が借りられなくなり、金利が異常に急上昇するというパニックが発生しました。
この危機を回避するため、FRBは市場に大量の緊急資金(流動性)を供給し、混乱を収めました。この対応がFRBのバランスシート上の資産を再び増やす原因となり、コロナ禍前からすでに市場安定のための資産拡大が始まっていた、という背景があります。
3年半続いた「量的引き締め(QT #2)」がついに終了
今回のQT(QT #2)は、2022年6月から始まり、2025年12月1日に公式に終了したというニュースです。
・資産が大幅に減少
FRBの総資産は11月に370億ドル減少し、6.53兆ドルとなりました。これは、2020年4月以来の低い水準です。
QTが始まった3年5か月間で、FRBの資産は合計で2.43兆ドルも減りました。これは、資産全体のおよそ27%に相当します。
・コロナ禍で増えた資産の半分以上を縮小
FRBは新型コロナウイルスのパンデミック時に、資産を4.81兆ドル増やしました(量的緩和:QE)。
今回のQTによって、その増えた分のうち51%、つまり半分以上が巻き戻されたことになります。
・QTが終わると、私たちにどんな影響があるの?
「FRBが資産を減らした」という話は、私たちの日常生活にも間接的に影響してきます。
まず金融市場への影響です。
QTは、世の中に出回るお金の量を減らすことでインフレ(物価高)を抑えることを目的としていました。QTが終了したことで、「これ以上、急速にお金が引き上げられることはない」という安心感が市場に広がり、株式市場や債券市場の安定につながる可能性があります。
次に、金利や住宅ローンへの影響です。
QTの終了により市場金利が落ち着く方向に進めば、将来的には住宅ローン金利などの身近な金利にも影響が出てくる可能性があります。
まとめ
今回のQT終了は、パンデミック後のインフレとの戦いがひとつの区切りを迎えたことを意味しています。過去の「QT #1」や「レポ市場の混乱」を振り返ると、金融政策の舵取りがいかに難しいかがよくわかります。
QTは公式に終了しましたが、これは同時に金融政策の新たなフェーズの始まりでもあります。今後、FRBがどのような次の一手を打ってくるのか、そして金利がどう動いていくのかに引き続き注目していくことが大切です。

