米国M2マネーサプライが過去最高を更新【2025年9月時点】

 

米国M2マネーサプライが過去最高を更新【2025年9月時点】

米国におけるM2マネーサプライが、2025年9月時点で過去最高水準に達しました。
本記事では、現在のM2マネーサプライの動向と長期的なトレンドについて客観的に報告します。


1. 米国M2マネーサプライ、22.2兆ドルの過去最高を記録

2025年9月、米国のM2マネーサプライは過去最高の22.2兆ドルに達しました。
これは、現金、当座預金、その他の流動性の高い資産で構成される、広範な通貨供給量を表す指標です。

この記録的な水準は、M2が前年比で+4.5%の上昇を示した結果であり、19カ月連続の増加となります。

参考として、直近では2025年3月にも過去最高の21.93兆ドルを記録しており、通貨供給量の継続的な増加トレンドが確認できます。


2. 長期トレンドと歴史的な急増

長期的な視点で見ると、2000年から2025年までのM2マネーサプライの平均成長率は+6.3%でした。
2025年9月の前年比+4.5%という伸び率は、この長期平均をわずかに下回る水準です。

M2マネーサプライの推移を示すグラフからは、特に注目すべき歴史的な出来事の際に顕著な急増が見られます。
具体的には、2008年の世界金融危機2020年のCOVID-19パンデミックの際に、通貨供給量が大きく伸びたことが確認されています。


3. インフレ調整後M2の動向

名目上のM2マネーサプライの成長に加え、インフレ調整後の実質的な成長率も確認することが重要です。

インフレ調整後のM2は、2025年9月に前年比+1.4%の成長を記録しました。
この実質的な伸びもまた、13カ月連続の増加となっています。

この事実は、インフレによる購買力の低下を考慮に入れた上でも、米国内の通貨供給量が継続的に増加していることを示しています。


まとめ

2025年9月時点で米国のM2マネーサプライは過去最高を更新し、名目・実質の両面で堅調な増加が続いています。
今後の金融政策やインフレ動向とあわせて、M2の推移を注視していく必要があるでしょう。

M2マネーサプライの増加と株価の関係は、マクロ経済分析や投資戦略の上で重要なテーマです。

M2(広義のマネーサプライ)が増加すると、一般的には金融市場に流動性が供給されるため、株価が上昇しやすくなります。主なメカニズムは次の通りです。

  1. 資金の余剰がリスク資産に向かう
    通貨供給が増えるということは、経済全体にお金が潤沢に存在している状態です。
    低金利環境や金融緩和期では、投資家はより高いリターンを求めて、株式や不動産などのリスク資産に資金をシフトする傾向があります。

  2. 企業業績の支援要因となる
    マネー供給の拡大は、消費や投資の拡大を通じて企業の売上や利益を押し上げる効果があります。
    その結果、企業の将来キャッシュフローが増加すると見込まれ、株価が上昇しやすくなります。

  3. 金融政策の緩和を示唆するシグナル
    M2が増えている局面では、FRBが金融緩和的なスタンスを取っている場合が多く、
    低金利・豊富な流動性が株式市場の追い風になります。

 

過去20年以上のデータを振り返ると、
M2の増加とS&P500の上昇には中長期的な相関関係が確認されています。

  • 2008年の金融危機以降(QE政策期)
    FRBの量的緩和でM2が急増 → 株価も史上最高値を更新。

  • 2020年のコロナショック後
    M2が短期間で+25%超増加 → 株式市場もV字回復し、ナスダック・S&P500ともに過去最高値を更新。

ただし、短期的には必ずしも一致しない点にも注意が必要です。
例えば、インフレ懸念が強まる局面では、M2の増加があってもFRBが利上げ(金融引き締め)に転じる可能性があり、
その結果として株価が下落することもあります。

2025年9月時点で、M2は過去最高の22.2兆ドル(前年比+4.5%)に達しています。
これは「流動性が依然として高水準」であることを示しています。
一方で、インフレがある程度落ち着いている場合、この余剰流動性が株式市場の支援材料になりやすい環境といえます。

しかし、FRBが今後インフレ再燃を警戒して引き締め姿勢を強めるようであれば、
M2の伸びが株価上昇につながらない可能性もあるため、政策とのバランスを注視することが重要です。

「M2が増加すれば株価も上がる」

この考え方は、長期的な資金循環の原理に照らして非常に妥当です。
実際、流動性の拡大は株式市場にポジティブな影響を与える傾向があります。
ただし、

  • インフレ率

  • FRBの金融政策(利上げ・利下げ)

  • マネーの滞留先(消費・貯蓄・投資)

といった要因も同時に考慮する必要があります。