ゴールド(XAU/USD)で勝率を安定させるテクニカル分析の教科書:アセンディングトライアングルと出来高の真実
FXやコモディティ(商品)トレードの世界で、最も人気があり、かつ最も「牙を剥く」のがゴールド(金)です。その魅力は何と言っても圧倒的なボラティリティ(値動きの激しさ)にあります。
しかし、その激しさに翻弄されて資金を溶かしてしまうトレーダーが後を絶ちません。なぜ彼らは負けるのか? それは「価格だけ」を見て、「市場の意図」を見ていないからです。
今回は、4時間足チャートを徹底解剖し、「根拠のあるトレード」とは何かを具体的に解説していきます。
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1. チャートの形を読み解く:アセンディングトライアングルの本質
まず、私たちが今目にしているのは「アセンディング・トライアングル(上昇型保ち合い)」という、非常に強力な強気のパターンです。
なぜこの形が「強気」なのか?
チャートを見ると、高値は一定の水平線(約 5,100ドル付近)で止められていますが、安値は着実に切り上がっています。これを市場心理で読み解くと以下のようになります。
売り勢力の壁: 5,100ドル付近には「ここより上には行かせない」という強い売り圧力が存在します。
買い勢力の粘り: 価格が下がるたびに、前回よりも高い位置で「安くなったから買いたい」という勢力が現れています。
<ポイント>
水平のレジスタンスライン(抵抗線)を何度も叩くことで、そこにある売り注文(供給)を買い手が少しずつ「吸収」しています。壁が薄くなったところでドカンと突き抜ける、それがブレイクアウトの仕組みです。
2. 「価格」の嘘を見抜く「出来高(CVD)」の威力
多くの初心者が陥る罠が「価格だけ上がって、中身が伴っていない上昇」に飛び乗ることです。ここで重要になるのが、チャート下部に表示されているCVD(累積出来高デルタ)です。
CVDとは何か?
通常の出来高が「取引の総量」を示すのに対し、CVDは「成行買い」と「成行売り」の差(デルタ)を積み上げたものです。
CVDが上昇: 積極的に「今すぐ買いたい」という成行買いが勝っている状態。
CVDが下落: 積極的に「今すぐ売りたい」という成行売りが勝っている状態。
今回のチャートでは、ニューヨークタイムに入ってから価格の上昇に合わせてCVDも綺麗に右肩上がりになっています。これは「誰かが無理やり価格を吊り上げている」のではなく、「市場参加者が本気で上値を追っている」という強力な裏付け(エビデンス)になります。
3. スマートマネーの足跡:オーダーブロック(OB)とBB
チャート上に表示されている「4 Hours OB」や「4 Hours BB」という帯。これらはスマートマネー(機関投資家や大口)が意識している価格帯を示唆しています。
オーダーブロック(OB)の役割
大口投資家は、一度に大量の注文を捌くことができません。そのため、特定の価格帯で分割して注文を入れます。その「足跡」がオーダーブロックです。
緑色の帯(サポート): 過去に強い反発が起きた場所。再び価格が戻ってきたとき、大口の買い支えが入りやすくなります。
赤い帯(レジスタンス): 売りが集中している場所。ここを突破するには、相当な「買いの馬力」が必要になります。
今回の戦略では、この「OBを背にする」ことが非常に重要です。もし価格が逆行しても、OBで反発する可能性が高いからです。
4. 実践:いつ「買い」のボタンを押すべきか?
理論を理解したら、次は「実行」です。エントリーには2つの主要なアプローチがあります。
パターンA:ブレイクアウト・エントリー
水平線(5,100ドル)を4時間足の実体が明確に超えた瞬間にエントリーします。
メリット: 上昇の勢いに乗れる。
デメリット: 突き抜けた瞬間に戻される「騙し」のリスクがある。
パターンB:リテスト・エントリー(推奨)
一度ブレイクした後、再び5,100ドル付近まで下がってきて、そこがサポートに変わった(レジサポ転換)のを確認してエントリーします。
メリット: 勝率が高く、損切り幅を小さくできる。
デメリット: 勢いが強すぎると、戻ってこずにチャンスを逃す。
5. 生き残るための数学:リスクマネジメント
トレードで最も大切なのは「いくら稼ぐか」ではなく、「いくら失うか」をコントロールすることです。
リスクリワード比率の計算
利益目標(TP)と損切り(SL)の比率を事前に計算します。数式で表すと以下のようになります。
理想は 1 : 2 以上 です。つまり、1万円失うリスクを取るなら、2万円以上の利益を狙える場面でのみ勝負します。
今回のトレードの具体的数値案
エントリー価格: $5,110 (ブレイク確認後)
損切り価格(SL): $4,980 (トライアングル内、OBの下)
利確目標(TP): $5,400 (直近の高値や心理的節目)
この設定であれば、損益比は約 1 : 2.2 となり、勝率が50%以下でもトータルで利益が残る計算になります。
6. メンタルと規律:ゴールドという魔物に勝つために
最後に、テクニカル以上に重要な「心構え」についてお話しします。
ゴールドは非常に感情的な銘柄です。特にニューヨークタイム(22時〜)の動きは激しく、一気に価格が動くと「置いていかれたくない!」という焦りからポジポジ病(不要なエントリー)を発症しがちです。
格言:待つのも相場
析が正しくても、タイミングを間違えれば負けます。「自分のセットアップ(条件)」が整うまで、腕を組んで待てるかどうかが、プロとアマの境界線です。
まとめ:明日からのステップ
今回の分析から学べる「勝ちへのルーティン」は以下の通りです。
上位足(4時間足)で全体の形を確認する(今はアセンディングトライアングル)。
出来高(CVD)を見て、上昇に中身があるか確認する。
オーダーブロックを特定し、もしもの時の「防波堤」を見つける。
リスクリワードを計算し、納得できる比率なら指値を置く。
あとはチャートを閉じ、通知が来るのを待つ。
ゴールドの相場は24時間動いていますが、あなたのチャンスは一日に数回、あるいは週に数回しかありません。その一瞬の「妥当性の高いポイント」を射抜くために、この分析手法をぜひ使い倒してください。

