プラチナ価格が16年ぶりの高値に!2,200ドル突破の背景を分かりやすく解説

プラチナ価格が16年ぶりの高値に!2,200ドル突破の背景を分かりやすく解説

貴金属市場で、今まさに非常に大きな動きが起きています。

投資家にとってはもちろん、宝飾品や産業用素材としても馴染み深い「プラチナ(白金)」の価格が急騰し、1オンスあたり2,200ドルを突破しました。これは2008年6月以来、約16年半ぶりとなる高水準です。

今、プラチナ市場では一体何が起きているのでしょうか。初心者の方にも分かりやすく、その背景を紐解いていきます。

記録的な連騰と驚異のパフォーマンス

今回の高騰で特に注目すべきなのは、その「勢い」です。

現在、プラチナ価格は9営業日連続で上昇しており、これは過去2年間で最長の連騰記録となっています。しかも、この短期間だけで価格は32%も上昇しました。

さらに、2008年3月に記録した史上最高値まで、残すところ約5%に迫っています。

年初来の騰落率も驚異的です。今年に入ってからの上昇率は142%に達しており、1978年の87%、1979年の96%を大きく上回っています。1960年代以降で見ても「最高の1年」になる可能性が高い状況です。


なぜここまで上がっているのか? 3つの主な理由

今回のプラチナ価格の高騰は、単なる投資ブームではありません。最大の要因は、供給と需要のバランスが大きく崩れていること、つまり需給の逼迫です。

① ロンドン市場での供給不足と米国への移動
主要な取引拠点であるロンドン市場では、現物プラチナの供給が極めてタイトな状態にあります。銀行などの金融機関は、将来的な関税リスクに備え、現物のプラチナを米国へ移動させることでヘッジを行っています。その結果、市場に出回る在庫が減少し、価格を押し上げています。

② 中国からの強い需要
世界最大級の消費国である中国向けの輸出が、今年に入って非常に好調です。経済活動の回復に加え、産業用途での需要がプラチナ価格を力強く下支えしています。

③ 広州での先物取引開始
中国・広州でプラチナの先物取引が始まったことも重要なポイントです。これにより新たな投資資金が流入し、需要が一段と押し上げられる結果となりました。


「供給不足による価格の押し上げ」という現状

現在のプラチナ市場は、いわば「供給主導のスクイーズ(価格の絞り上げ)」の状態にあります。

供給が限られている中で、リスク回避の動きや新しい取引所での需要が重なり、価格はほぼ垂直に近い形で上昇しています。チャートを見ても、直近の値動きが過去と比べていかに急激であるかが一目で分かります。


まとめ:今後の注目点

プラチナは、金(ゴールド)と同様に希少性が高いだけでなく、自動車の排ガス浄化触媒や水素エネルギー関連など、産業用途としての重要性も非常に高い金属です。

今後の注目点としては、
「2008年の史上最高値を更新するのか」
「この供給不足の状態はいつまで続くのか」
といった点が挙げられます。

歴史的な上昇局面にあるプラチナ市場は、今後も目が離せません。投資を検討する際には、こうした背景にある「現物の不足」という側面をしっかり理解しておくことが重要です。