その肩こり、実は「吐き出せない」のが原因?呼吸と筋肉の深い関係

その肩こり、実は「吐き出せない」のが原因?呼吸と筋肉の深い関係

「マッサージに行ってもすぐに首や肩が凝ってしまう…」
そんな悩みを持つ方は、一度自分の「呼吸」に注目してみてください。

実は、呼吸が浅くなり「息を吐ききれない」状態が続くと、首や肩の筋肉が休まる暇を失い、常に緊張したままになります。その結果、筋肉はガチガチに固まり、慢性的な肩こりへとつながっていくのです。

今回は、呼吸と筋肉の関係について、その仕組みを分かりやすく解説していきます。

1.呼吸の主役!「吸う筋肉」と「吐く筋肉」を知ろう

私たちの体では、たくさんの筋肉が連動して呼吸を行っています。大きく分けると、息を吸うための「吸息筋」と、吐くための「呼息筋」があります。

まず、息を吸うときに働く筋肉です。
これらは空気を肺に取り込むため、胸を広げる役割を担っています。

・横隔膜
呼吸の主役となる筋肉です。ドーム状の形をしており、下がることで肺に空気を引き込みます。

・外肋間筋
肋骨の外側にあり、肋骨を持ち上げて胸郭を広げます。

・首まわりの筋肉(胸鎖乳突筋、斜角筋、僧帽筋)
本来は補助的に働く筋肉です。大きく息を吸うときに、上から肋骨を引き上げます。

次に、息を吐くときに働く筋肉です。
これらは肺を縮め、空気を外に押し出す役割を果たします。

・内肋間筋
肋骨の内側にあり、広がった肋骨を内側へとしぼませます。

・腹筋グループ(腹直筋、腹横筋など)
お腹を凹ませることで腹圧を高め、横隔膜を上に押し上げて空気をしっかり吐き出します。

2.なぜ「反り腰」だと肩が凝るのか?

本来、肋骨はバケツの持ち手のように、吸うときに上がり、吐くときにしぼむという柔軟な動きをしています。しかし、反り腰などの悪い姿勢や、ストレスによる自律神経の乱れがあると、この自然なリズムが崩れてしまいます。

腰が反った状態では、肋骨がパカッと開いたまま固まりやすくなります。すると、お腹の筋肉がうまく使えなくなり、息を最後まで吐ききることが難しくなってしまうのです。

3.「吐けない」の代償が「肩こり」になる

肺の中に古い空気が残ったままだと、次に吸うためのスペースが十分に確保できません。それでも体は酸素を取り込もうとするため、首や肩の筋肉を無理やり使って肺を広げようとします。

その結果、次のような悪循環が生まれます。

・息が吐ききれず、肋骨が開いたままになる
・お腹の筋肉が働かず、代わりに首の筋肉(斜角筋など)が過剰に活動する
・1日およそ2万回の呼吸のたびに、首や肩をすくめる動きを繰り返す
・結果として、首や肩がパンパンに張り、慢性的な肩こりが完成する

まとめ:まずは「しっかり吐ききる」ことから始めよう

慢性的な肩こりに悩んでいる方は、まず「しっかり吐く」ことを意識してみてください。

ポイントは、お腹を凹ませながら、細く長く「ふーっ」と息を吐ききることです。

この呼吸を続けることで、肋骨が正しい位置に戻り、お腹の筋肉が目覚めてきます。すると、これまで頑張りすぎていた首や肩の筋肉が自然と休まり、肩こりの軽減につながっていきます。

「姿勢を整えて、正しく吐く」。
それだけで、体はもっと軽くなり、呼吸は深く楽なものへと変わっていきます。