世界のお金の流れはどうなる? 中央銀行の「引き締め」はまだ続く!
下記のグラフと最新の情報を基に、世界の中央銀行が今どのような動きを見せているのか、そしてそれが私たちのお金の流れにどのような影響を与えるのかを、わかりやすく解説します。
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G4中央銀行とは? そして今、何をしているの?
「G4中央銀行」とは、世界経済に特に大きな影響を与える4つの中央銀行のことを指します。具体的には、米連邦準備制度理事会(Fed)、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BoE)、日本銀行(BoJ)の4行です。
コロナ禍において、これらの中央銀行は経済を下支えするため、大量の国債などの資産を買い入れました。これがいわゆる量的緩和(QE)です。グラフ上では、2020年から2021年にかけて、非常に大きなプラスの棒グラフとして表れています。
しかし、景気が回復しインフレ、つまり物価上昇が進むと、中央銀行は次第に反対の行動を取るようになります。買い入れた資産を減らす「量的引き締め(QT)」です。これは市場からお金を吸収し、過熱した経済やインフレを抑えるための政策です。
最新情報:FedはQTを終えるが、世界的な引き締めは続く
ここで、特に注目すべきポイントを整理します。
まず、アメリカの動きです。アメリカの中央銀行であるFedは、2025年12月1日に量的引き締め(QT)を終了しました。
このニュースを聞くと、「これで世界のお金の流れは再び緩むのではないか」と感じるかもしれません。しかし、状況はそれほど単純ではありません。
次に、他の3つの中央銀行の動きです。FedがQTを終了した一方で、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BoE)、日本銀行(BoJ)の3行は、引き続きバランスシートの縮小を続ける方針です。具体的には、保有資産の売却や、満期を迎えた債券を再投資しないといった形で、資産を減らしていきます。
特に、欧州中央銀行と日本銀行は、今後さらにバランスシート縮小のペースを加速させる見込みです。その結果、2026年には、これら3行だけで合計マイナス1.2兆ドルもの資産縮小が行われると予想されています。これは、FedがQTを終了した影響をほぼ相殺してしまうほどの大きな規模です。
グラフからわかる「引き締め」の規模
このグラフで2023年以降の動きを見ると、棒グラフがマイナスになっている部分が確認できます。これは「ネットQE」、つまり純粋な資産の縮小、言い換えれば金融引き締めを示しています。
具体的には、2024年にはG4中央銀行全体でマイナス1.4兆ドルという、すでに大規模な資産縮小が進行しています。2025年もマイナス1.3兆ドルと、ほぼ同規模の縮小が続く見通しです。さらに2026年には、予想値ではあるものの、マイナス1.2兆ドルの縮小が見込まれており、引き締め基調が続くと考えられます。
コロナ禍の「景気刺激策」の65%が解消へ
コロナ禍の2020年から2021年にかけて、これらの中央銀行は合計で7.7兆ドルもの資産を買い入れ、世界に大量の資金を供給しました。
しかし、2023年から2026年にかけての引き締めが予想通り実施されると、この期間だけで合計5.0兆ドルの資産が縮小されることになります。これは、パンデミック時に行われた景気刺激策の約65%が解消されることを意味します。
まとめ:世界のお金(流動性)は引き続き「絞られる」
結論として、アメリカの中央銀行であるFedが量的引き締めを終了したとしても、他の主要中央銀行が引き続き引き締めを行うため、世界全体のお金の流れ、いわゆるグローバル・リクイディティは、今後もしばらくタイトな状態が続くと考えられます。
この状況は、世界的な金利動向や株式・債券などの資産価格に影響を及ぼす可能性があります。市場参加者だけでなく、私たち自身も、この中央銀行の動きを注意深く見守っていく必要があるでしょう。

