📉 米国小型株市場の今:40%の企業が利益なし?
💡 はじめに:米国小型株の「ラッセル 2000」とは?
私たちがニュースなどでよく耳にする「株価指数」には、S&P 500やナスダックなど、さまざまなものがあります。今回注目する「ラッセル 2000」もその一つで、主に米国の小型株(スモールキャップ)2,000銘柄で構成されています。
大型株に比べて、小型株は成長の可能性を秘めている一方で、業績や景気変動の影響を受けやすいという特徴があります。このラッセル 2000の企業の約40%が、現在「利益を出せていない」というデータがあり、米国市場の一部の企業が苦境に立たされていることが示唆されています。
😱 小型株市場で何が起きているのか?
下記のグラフと提供されたデータは、ラッセル 2000に組み込まれている企業のうち、過去12ヶ月間の利益(EPS:一株当たり利益)がマイナス、つまり赤字となっている企業の割合を示しています。
![]()
①利益がない企業が40%に迫る
2025年第3四半期の時点で、ラッセル 2000の企業の40%が過去12ヶ月間で赤字を報告しました。この割合は、これまでの記録の中でも非常に高い水準にあります。
ラッセル 2000は約2,000社で構成されているため、これはおよそ800社が利益を出せていないことを意味します。
②長期的な増加傾向と過去との比較
この赤字企業の割合は、2007年と比べると2倍以上に増えており、明確な上昇トレンドが続いています。
2008年の金融危機後には、赤字企業の割合は約40%でピークを迎えました。現在もこの水準に近づいています。また、2001年の景気後退後では、赤字企業の割合は約33%でした。
過去の景気後退時と比べても、現在の赤字企業の割合は高水準であり、多くの小型株のファンダメンタルズ、つまり企業を支える基礎的な体力が、依然として弱い状況にあることが分かります。
📉 この苦境はFRBの金融政策をどう動かすか?【重要】
多くの小型企業が赤字に苦しんでいる状況は、単なる企業業績の問題にとどまらず、FRB(米連邦準備制度理事会)の将来の金融政策に影響を与える可能性を秘めています。
・高金利の「しわ寄せ」
FRBがインフレを抑えるために金利を高く維持する政策、いわゆる金融引き締めを続けてきた結果、体力のない小型企業は利払い負担の増加や資金調達の難しさに直面し、収益が悪化しています。40%という赤字企業の割合は、高金利政策の「しわ寄せ」が経済の重要な部分に深く及んでいることを示しています。
・金融緩和への圧力が高まる可能性
この小型株の苦境が続けば、景気全体が後退し、雇用が悪化するリスクが高まります。
FRBは、このまま赤字企業が増加し、本格的な景気後退の兆候が確認されれば、景気支援のために政策を転換せざるを得ないという圧力が強まります。具体的には、利下げに踏み切る、あるいは金融市場の混乱が深刻化すれば、量的緩和(QE)の再開を検討するきっかけとなる可能性があります。
・注意点:総合的な判断
ただし、FRBの決定は小型株の状況だけで決まるわけではありません。インフレ率が依然として高い水準にある場合や、雇用市場が堅調に推移している場合には、金融緩和の開始時期が遅れる可能性もあります。
それでも、このラッセル 2000のデータは、「金融引き締めの影響は深刻であり、いずれFRBも緩和の必要性に直面するだろう」と考える有力な根拠の一つであると言えるでしょう。
🌟 まとめと投資へのヒント
現在のラッセル 2000のデータは、米国経済全体が好調に見えても、その恩恵を十分に受けられていない企業が数多く存在することを示しています。そして、その苦境がFRBの将来の政策判断に影響を与える可能性がある点は、投資家にとって見逃せないポイントです。
小型株への投資を考える際には、いくつか注意すべき点があります。まず重要なのは選別です。単に「小型株だから成長するだろう」と考えるのではなく、すでに安定して利益を出しており、将来性のある企業を見極めることが欠かせません。
また、小型株は価格変動が大きい、いわゆるボラティリティが高い傾向があるため、リスク管理も重要です。無理のない投資額を心がけ、分散投資を徹底することが大切になります。
今回の情報が、米国市場、特に小型株の現状と、今後の金融政策の動向を理解する一助となれば幸いです。

