⚡️ アメリカで電力危機が迫っている？ AI時代に必要な電力を考える
下記のグラフは、アメリカの電力供給と需要の将来予測を示したものです。そこからは、非常に興味深い、そして少し心配になる傾向が読み取れます。
AIデータセンターの急増や電気自動車（EV）の普及が進む中で、「アメリカで本当に電力が足りなくなるのか？」という疑問に焦点を当て、現状と将来の見通しを整理してみます。
📈 2028年に電力需要が供給を上回る予測
まず、グラフに描かれている2本の線の意味を確認しましょう。
黒い線は、将来に「供給できる」と予想されている最大の電力、つまりピーク供給量を示しています。
一方、黄色い線は、将来に「必要になる」と予想されている最大の電力、ピーク需要量を表しています。
この2本の線が交差するポイントは、電力の供給と需要が逆転するタイミングを意味します。
予測によると、2028年には以下のような状況になるとされています。
ピーク需要は1,160ギガワット、ピーク供給は1,158ギガワットです。
わずかな差ではありますが、この時点で需要が供給を上回り、必要な電力が足りなくなる状態が始まると見込まれています。
これは、特に電力使用量が最大になるピーク時において、計画停電や大規模停電のリスクが高まることを意味します。
📉 AIとEVが電力需要を急増させる
では、なぜこれほどまでに電力需要が増えるのでしょうか。主な要因は3つあります。
1つ目は、AIデータセンターの増加です。AIの処理には膨大な電力が必要であり、AI技術の進化と普及に伴って、データを処理・保存するデータセンターの電力消費量は爆発的に増えています。
2つ目は、新しい工場の建設です。製造業の国内回帰や、新技術に対応するための工場建設が進むことで、産業部門での電力使用量が増加しています。
3つ目は、電気自動車（EV）の普及です。ガソリン車からEVへの切り替えが進むことで、家庭や充電スタンドにおける電力消費が大きく伸びています。
これらの新たな需要は、従来の電力インフラが想定していたペースを大きく上回って増加しており、その結果として供給能力が追い付かなくなる見通しとなっています。
🚨 2033年、深刻な電力不足の危機
グラフの右端、2033年に注目すると、電力不足の差がさらに大きく広がると予測されています。
2033年の予測では、ピーク需要は1,229ギガワットに達する一方、ピーク供給は1,128ギガワットにとどまります。
その差は約101ギガワットにもなります。
さらに、情報によれば、この不足が最大で175ギガワットにまで拡大する可能性も指摘されています。これは、アメリカ全体の電力系統、いわゆるグリッドの安定性を根本から揺るがしかねない水準です。
この予測通りに事態が進めば、大規模かつ頻繁な停電、さらには広範囲にわたるブラックアウトの可能性が著しく高まることになります。
💡 今後の課題：電力供給の強化が急務
このデータが示している最も重要なメッセージは、非常にシンプルです。
「もっと電力が必要だ」
アメリカはAI時代に突入するにあたり、想定を超えるスピードで増え続ける電力需要に対応する必要があります。そのためには、発電所の新設、再生可能エネルギーの導入加速、そして送電網の近代化といった大規模な取り組みを急ぐことが不可欠です。
この問題は、アメリカだけの特殊な事情ではありません。AIの急速な発展は世界共通の現象であり、日本を含む他の国々にとっても、「将来の電力供給能力」を改めて真剣に考える重要なきっかけになると言えるでしょう。
