銅価格が過去最高値を更新!知っておきたい「なぜ今、銅が熱いのか」

銅価格が過去最高値を更新!知っておきたい「なぜ今、銅が熱いのか」

皆さんの身の回りにある「銅」が、今、世界の市場で大きな注目を集めているのをご存知でしょうか?

下記のグラフを見ると分かる通り、銅の価格は急激に上昇し、過去最高値を更新しました。なぜ、これほどまでに銅の価格が高騰しているのか。その背景をわかりやすく解説します。

記録的な高値!銅の価格はどこまで上がった?

今回のニュースのポイントは以下の通りです。

ロンドン金属取引所(LME)における銅価格は、先日金曜日に1トンあたり11,620ドルという過去最高値を記録しました。
今年の初めから現在までに、価格は30%以上も上昇しています。

グラフの右端にある赤い丸の部分が、この記録的な高値を示しています。2021年以降でも、これほど高い水準は初めてのことです。

なぜ、これほどまでに銅価格は急騰しているのか?

銅価格の上昇には、主に2つの大きな要因があります。

まず一つ目は、アメリカの「先回り買い(ストックパイル)」です。

現在、来年以降にアメリカが輸入関税を導入するのではないかという見方が広がっています。関税が導入されれば、輸入品の価格は上昇します。その動きを見越し、関税がかかる前に銅を大量に買い集め、備蓄しておこうとする動きが活発化しています。この先を読んだ積極的な買いが、価格上昇の大きな要因になっています。

二つ目は、アメリカへの在庫集中です。

世界の主要取引所にある銅の在庫量は増加しており、合計で約656,000トンと、2018年以来の高水準に達しています。特に注目すべきなのは、その保管場所です。

この在庫のうち、およそ60%がアメリカのComex(コメックス)倉庫に集中しています。通常、在庫が増えれば価格は下がりやすくなりますが、これほど大量の銅が特定地域に偏って保管されていることで、市場の需給バランスに対する不安が高まり、結果として価格上昇を招いています。

今後の見通し:供給が不足する時代へ

市場では今後、銅の需給バランスが崩れ、「構造的な不足(ストラクチュラル・デフィシット)」に陥ると予測されています。

これは、世界が必要とする銅の量(需要)に対して、生産できる量(供給)が追いつかなくなる状況を意味します。特に来年以降、この傾向はより顕著になると見られています。

銅は電気自動車(EV)や再生可能エネルギー設備など、脱炭素社会に欠かせない重要な資源です。「未来の資源」とも呼ばれており、需要は今後も拡大していくと考えられています。

このため、現在の価格高騰は一時的な現象にとどまらず、今後も上昇基調が続く可能性が高いと市場は見ています。

まとめ

銅価格は、アメリカの関税導入への警戒感とそれに伴う積極的な備蓄によって過去最高値を更新しました。
世界の在庫の半分以上がアメリカに集中しており、需給バランスへの懸念が強まっています。
今後は供給不足が見込まれ、銅価格はさらに上昇する可能性があります。