日本は本当に「借金まみれ」で危ないのか?

日本は本当に「借金まみれ」で危ないのか?

はじめに:なぜ日本は「借金大国」と言われ続けるのか?

ニュースや学校で、「日本は借金が1,300兆円を超えていて、財政が危機的だ」という話を聞いたことがあるかもしれません。
財務省もこの「借金」の数字を強調することが多いため、「日本はもうすぐ破綻するのでは?」と不安になる人もいます。

しかし、多くの経済専門家は 「日本は破綻しない」 と見ています。
なぜでしょうか?

その理由は、「借金(負債)」だけを見て「資産」を見ていないからです。

この記事では、日本の財政が持つ本当の強みを、誰にでもわかるように解説します。


💰 1. 日本が世界に誇る「隠された資産」の正体

企業や家計と同じように、国も借金だけでなく“資産”を持っています。
実は日本は、世界でもトップクラスの巨大な資産を保有している国なのです。


① 世界一!国民が持つ「個人金融資産」(2,200兆円超)

日本国民(私たち)が銀行預金・株・保険として保有しているお金の合計は、なんと 2,200兆円超

日本の国債(国の借金)の多くは、日本の銀行や保険会社、そして私たち国民のお金で買われています。

つまり、日本政府の最大の債権者は 外国ではなく日本人自身

これが、日本円で発行される国債が非常に安定している理由の一つです。


② 世界一の金持ち国!「対外純資産」(530兆円超)

「対外純資産」とは、日本が海外に持つ資産(工場、株、貸付金など)から、海外への負債を差し引いた“海外への貯金”のようなもの。

日本はこれを 50年以上世界一 で維持しており、その額は 530兆円超

これは「日本という国」が世界経済の中で非常に強い立場にあることを示しています。


③ 稼ぐ力!「経常収支の黒字」(約30兆円)

日本は毎年、貿易や投資で安定して海外から利益を得ており、経常収支は 約30兆円の黒字(世界トップクラス) です。

これは、日本が外貨を稼ぎ続ける能力が高いことを表しています。


④ 企業に眠る「内部留保」(630兆円超)

日本企業が蓄えている利益(内部留保)も 630兆円超 で過去最高。
これは、日本経済全体に存在する巨大な潜在的な投資力・体力です。


🏢 2. 「国の借金」は企業のバランスシートで考えるとどうなる?

企業が倒産するかどうかを判断するとき、負債(借金)だけを見ることはありません。
必ず「資産」とセットで確認します。


■ 企業の例(トヨタの場合)

  • 負債:60兆円
  • 資産:100兆円
    → 資産が負債を大きく上回るため 超優良企業 と判断されます。

■ 国の会計(バランスシート)

財務省が強調する「借金1,300兆円」は国の負債(国債など)。
しかし国にも、

  • 現金
  • 貸付金
  • 政府機関の保有資産

など、ざっくり600〜700兆円の資産があります。

つまり、借金から資産を差し引いた「純負債」で見ると実態は異なります。

もちろん、国の資産には道路・学校・防衛装備品など「売れないけど必要な資産」も含まれますが、
“借金と資産の両方を見る” という視点は、財政を正しく理解するうえで非常に重要です。


💡 3. それでも無視できない「本当の課題」

資産が多いからといって、すべてが安心というわけではありません。
日本の財政には、この資産をもってしても解決が難しい課題が存在します。


■ 主な課題

  • 累積債務の大きさ
    日本の借金はGDPの250%以上。先進国の中で突出した水準。
  • 将来世代への負担
    将来金利が上昇すると、国債の利払い費が急増し、若い世代の税負担が重くなる可能性がある。

✅ まとめ:日本は「財政優等生」?

日本の財政状況は、

  • 累積債務が多いという大きな弱点
  • 国民・企業の資産、対外的な稼ぐ力という世界トップクラスの強み

この2つで成り立っています。


■ 悲観的な見方

借金1,300兆円の数字だけを見れば、「日本は破綻する」と感じる。

■ 多角的な見方

巨大な資産や収益力も含めて見れば、
「自国通貨建てで、すぐに破綻する心配はない」 という結論になる。

日本がすぐに破綻する可能性は低いものの、
将来世代に負担を先送りしないための財政改革は、今後も避けられない重要テーマです。