第7胸椎(T7)が固まりやすい理由とヨガでの重要性
「第7胸椎(T7)が固まりやすい」という指摘は、身体の構造と機能の観点から妥当性が高いと考えられています。また、ヨガにおいてもこの部位は特に重要視されます。
第7胸椎が固まりやすい妥当性と理由
第7胸椎(T7)を含む胸椎の下部は、解剖学的・力学的な理由から動きが制限され、固まりやすい傾向にあります。
1. 動きの切り替わりと構造的な負荷
背骨は、部位によって動きの特性が異なります。
胸椎の上部(T1~T6):比較的、回旋(ねじり)の動きが大きい
胸椎の下部(T7~T12):頸椎や腰椎の動きの影響を受けやすく、特に腰椎(L1~L5)へスムーズに動きを伝えるための移行部の役割を果たす
胸腰移行部(T11〜L1):動きの切り替わりが激しいが、T7あたりは胸椎のなかでも生理的なS字カーブの頂点付近に近く、肋骨との連結もあって、屈曲(前かがみ)や伸展(反る)の動きで特に大きなストレスを受けやすい
2. 横隔膜との関連
第7胸椎は、呼吸の要となる横隔膜の付着部と密接に関わっています。
横隔膜の神経は頸椎から来ているが、横隔膜の働きは胸椎の動き、特にT7〜T12の可動性に大きく影響される
呼吸が浅くなると横隔膜の動きが制限され、その結果、T7を含む下部胸椎周辺の筋肉(脊柱起立筋群など)が緊張し、固着しやすくなる
3. 日常生活の姿勢(猫背)
長時間のデスクワークやスマートフォン操作などによる猫背姿勢は、下部胸椎に持続的なストレスを与える。
背中が丸まると、T7付近で胸郭にズレやねじれが生じやすく、動きの悪い支点となりやすい(T7あたりで胸郭が回旋するとの指摘もある)
ヨガにおける第7胸椎の重視
アイアンガーヨガを含む多くのヨガの流派で、胸椎全体、特にT7周辺の可動性は非常に重視される部位です。
1. 「背骨に呼吸を通す」ための鍵
T7周辺が固まると胸郭の動きが制限され、横隔膜が効率的に機能できなくなる。
T7を意識的に動かすことで深い呼吸(特に下肺野の拡張)が促され、「背骨に呼吸を通す」という感覚を具体的に体験できる
アイアンガーヨガでは、プロップス(補助具)を使い、中~下部胸椎を優しく広げたり伸展させたりするポーズ(例:スプタ・バッダ・コーナーサナでのブロック使用)が頻繁に行われる
2. 後屈(伸展)ポーズの成功
後屈ポーズを安全に深めるには、腰椎で反るのではなく、胸椎、特にT7周辺から動きを引き出すことが不可欠。
T7が固まっているとその下の腰椎に負担が集中し、腰痛の原因になりやすい
3. エネルギー的な中心
ヨガの概念において、背骨にはエネルギーセンター(チャクラ)が存在する。
T7周辺は、感情の中心であるマニプーラ・チャクラ(第3チャクラ)とアナハタ・チャクラ(第4チャクラ)の境目に位置するとされ、身体的・精神的解放の重要ポイントと考えられている
まとめ
第7胸椎周辺の可動性を高め、筋肉の緊張を緩めることは、呼吸の深化、ポーズの質の向上、そして心身の安定につながります。ヨガの実践において、この部位を丁寧にケアすることはとても大きな価値があります。

