🧘‍♀️ 背骨に「呼吸を通す」という感覚を

🧘‍♀️ 背骨に「呼吸を通す」という感覚を

 

🧘‍♀️ 背骨(脊柱)の基本構造

背骨は専門的には脊柱(せきちゅう)と呼ばれ、頭から骨盤までつながる身体の主要な支柱です。これは一つの長い骨ではなく、椎骨(ついこつ)というブロック状の小さな骨と、その間の椎間板(ついかんばん)が交互に積み重なり、靭帯で強固に連結されてできています。


1. 椎骨の数と部位の名称

脊柱は、合計24個の椎骨が連なり、その下に仙骨(せんこつ)・尾骨(びこつ)が続きます。それぞれの部位には名称があり、動きの特性が異なります。

部位名英語表記椎骨の数特徴
頸椎(けいつい)Cervical Spine (C1-C7)7個首の部分。最も柔軟で可動域が大きい。
胸椎(きょうつい)Thoracic Spine (T1-T12)12個胸の部分。肋骨と接続しており、動きが少ない。
腰椎(ようつい)Lumbar Spine (L1-L5)5個腰の部分。体重を支える役割が大きく、幅広く頑丈。
仙骨(せんこつ)Sacrum1個もとは5個の骨が癒合したもの。骨盤の一部。
尾骨(びこつ)Coccyx1個仙骨の下端。もとは3〜5個の骨が癒合したもの。

2. 生理的弯曲(S字カーブ)

背骨を横から見ると、完全にまっすぐではなく、ゆるやかなS字状のカーブを描いています。これを生理的弯曲と呼び、バネのような役割をして、重力や外部からの衝撃を分散・吸収しています。

  • 前弯(ぜんわん):頸椎と腰椎が体の前方にカーブ
  • 後弯(こうわん):胸椎と仙骨が体の後方にカーブ

アイアンガーヨガでは、この自然なS字カーブを意識し、ポーズ(アーサナ)を通して一つ一つの椎骨の間を広げ、適切な位置に戻すことを重視します。これが「背骨に呼吸を通す」という感覚につながります。


3. 椎骨の構成要素

個々の椎骨は主に2つの部分で構成されています。

  • 椎体(ついたい):前方にある円柱状の部分。体重を支え、椎間板と接しています。
  • 椎弓(ついきゅう):後方にある複雑な形の部分。

椎体と椎弓で囲まれた中央の空間を椎孔(ついこう)と呼び、これが縦につながってできるトンネル状の管が脊柱管(せきちゅうかん)です。この脊柱管の中には、脳から続く非常に重要な神経である脊髄(せきずい)が通っており、背骨はこれを保護する役割も担っています。


💡 「背骨に呼吸を通す」と構造の関連

アイアンガーヨガでは、アーサナを通して背骨の一つ一つの椎骨を意識的かつ丁寧に動かし、椎間板にかかる圧力を均等にし、脊柱管内のスペースを確保することを目指します。

  • 背骨を伸展(反る動き):息を吸う(吸息)に合わせて行い、胸郭や腹部が広がり、より深い呼吸を促します。
  • 背骨を屈曲(丸める動き):息を吐く(呼息)に合わせて行い、リラックスを促し、背中の緊張を緩めます。

背骨の構造を理解することで、ただポーズの形を作るだけでなく、「呼吸で椎骨の間隔を広げ、脊柱管を長く保つ」というアイアンガーヨガの指導を、より正確かつ深く実践できるようになります。