インフレ時代に広がる格差と生活防衛術【コーヒー680円と牛丼450円から見える日本経済のリアル】

最近、日本でも物価上昇（インフレ）が進み、卵やパン、外食など身近な商品が値上がりしています。しかしその影響は人によって異なり、経済格差を広げる一因にもなります。本記事では、コーヒー680円と牛丼450円という身近な事例を通して、インフレ時代の生活戦略を考察します。

はじめに

最近、日本でも「物価が高くなった」という実感を持つ人が急増しています。スーパーで買う卵やパン、ガソリン代、外食の価格…。どこを見ても少しずつ、あるいは急激に値段が上がっています。
この現象は「インフレ（物価上昇）」と呼ばれるものですが、その影響はすべての人に均等に降りかかるわけではありません。むしろ、インフレが進むと経済格差は拡大しやすいという側面があります。

今回は、喫茶店のコーヒーが680円に値上がりしている一方、すきやの牛丼が450円で据え置かれているという身近な例を取り上げながら、インフレ時代をどう生き抜くかを考えてみましょう。

インフレとは何か ― おさらい

まずは基礎から確認しましょう。インフレとは「モノやサービスの価格が全般的に上がる状態」のことです。

コーヒーが500円から680円に上がる
家賃や電気代が値上げされる
スーパーの総菜やお菓子が小さくなって同じ値段で売られる（実質値上げ）

これらはすべてインフレの表れです。インフレ自体は必ずしも悪ではなく、適度なインフレは経済成長にとってプラスに働くこともあります。企業が価格を上げられるということは、需要があり、経済が活性化しているサインでもあるからです。

しかし問題は、インフレの波が生活者に不均等に襲いかかる点です。

コーヒーは680円、牛丼は450円 ― なぜ違うのか？

先日、UCCコーヒーの喫茶店で1杯680円という価格を見て驚きました。以前は500円台で飲めた記憶があるのに、いつの間にか「ランチ一食分」と同等の価格になっています。

一方で、すきやの牛丼並盛は依然として450円。こちらは長年、日本の「庶民の味方」として価格をほぼ据え置いています。

この違いには以下の要因があります。

ブランド価値とターゲット層の違い
- 高級喫茶店のコーヒーは「落ち着いた空間」「サービス」を含めた体験型商品。多少値段が上がっても客層は離れにくい。
- 牛丼は「安く、早く、お腹を満たす」ことが価値。値段を上げすぎると顧客が離れやすい。
価格転嫁の難易度
- 高級カフェや専門店は、値上げしてもブランド力で顧客をつなぎとめられる。
- 大衆向け外食は値上げが難しく、企業努力で吸収する必要がある。
企業戦略の違い
- 喫茶店業界は「高単価・少客数」で利益を確保。
- 牛丼チェーンは「低単価・多客数」で利益を確保。

つまり、同じインフレ環境でも、業界や企業の戦略によって価格の動き方はまったく違うのです。

インフレが格差を拡大する理由

では本題です。インフレが進むと、なぜ経済格差が広がるのでしょうか。

資産を持つ人が有利になる
- 株式や不動産などの資産は、インフレで価値が上がることが多い。
- 資産を持たない人は、単純に「生活費の負担増」だけを受ける。
所得の伸びが追いつかない
- 給与がすぐに上がるわけではない。
- 物価だけが先に上がると、生活は苦しくなる。
消費行動の二極化
- 余裕のある人は「値上げ後もコーヒーを飲む」。
- 余裕のない人は「牛丼すら控える」。
- 同じ社会の中で「体感インフレ率」が大きく異なる。

こうして、インフレは「持てる者」と「持たざる者」の差をさらに広げてしまうのです。