製造業の未来は厳しい！？経団連新会長に見る「時代の波」

経団連は次期会長に日本生命の筒井義信会長を選出しました。金融機関出身者が初めて会長に就任することは、日本の産業構造の大きな変化を象徴しています。これまで経団連会長には製造業出身者が主流でしたが、近年のサービス業の台頭と製造業の相対的な地位低下が背景にあります。

現在、製造業に従事する労働者は約1000万人と、全体の6分の1にまで減少しています。また、企業全体が稼ぎ出す利益も、製造業を大きく上回るのは非製造業の分野。日本の経済の中心は、もはや製造業からサービス業へと移行しています。

製造業の賃金は相対的に高いものの、円安の進展が輸出産業を支えるどころか、金利の上昇を引き起こし、製造業の業績回復にはつながっていません。結果的に、金融機関の業績拡大が予測される一方、製造業は厳しい状況が続いています。

現会長の十倉氏による指名は「人物本位」とされていますが、背景には産業構造の変化があります。経団連の政治力が低下し、企業の内部留保が積み上がる一方で、賃上げや設備投資には消極的な企業が多く、国民からの反発も高まっています。

新しい会長には、インフレが進む中で企業業績の向上や賃上げの実現に向けた明確なビジョンを示すことが求められます。既得権益の維持に固執するだけでは、日本経済の停滞が続き、製造業の未来もさらに厳しさを増すことが懸念されます。

製造業は今後ますます厳しい状況が続く可能性が高い中で、新たに選ばれた経団連会長には、経済界を牽引し、時代の波に適応したリーダーシップが求められています。「時代の波」に乗り遅れることなく、変革を進めることが、これからの日本経済の成長にとって重要なカギとなるでしょう。

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