澤上 篤人さんの著書「インフレ不可避の世界」【インフレ対策について考える必要あり!】
澤上 篤人さんの著書「インフレ不可避の世界」を読みました。
タイトルの通り、インフレが不可避である可能性が極めて高い、と再認識しました。
また、直近の現象として、ボトルネックインフレ*を指摘している点は、その通りと思いました。
ボトルネックインフレ*
生産要素(労働力・土地・資本)の一部が不足すること、
すなわち隘路あいろ(ボトルネック)が生じることで、
生産が需要に追いつかず、物価が上昇すること。
出典:コトバンク
インフレが及ぼす影響について、若干オーバー気味な論調になっていること、
為替影響(円安ドル高)について記載がないこと、
は気になりましたが、一読の価値はあります。
本書において、インフレ対策として、優良株への長期投資が有用との結論に至っています。
金融経済ではなく、実態経済に立脚した、本質的な価値を創出している、割安な株式、に長期投資するということです。
この意見には私も賛成できるところがあります。
現時点の私なりの具体的なインフレ対策は、
①総合商社(5大商社)
②鉄鋼メーカ(日本製鉄、JFE)
の株式を買い進めることだと考えています。
世界的に、食料、資源、エネルギーの供給不足が進むと、日本では総合商社の権益や調達能力に頼るしかないです。
総合商社をメインに投資すれば良いと思いますが、敢えて、分散性を意識するなら、鉄鋼メーカーを挙げます。
脱炭素化の影響で中国鉄鋼メーカーが減産、ロシア問題で鉄鋼の受給ひっ迫、価格競争力の向上、日本製鉄がトヨタを訴えるなど経営者の積極姿勢、を私は評価しています。
世界的なインフレに加えて、日本の場合、円安に大きく振れる可能性もあり、先々が見通しにくい時代に突入しています。
歴史を学び、現状を認識して、未来について考察を続けるしかないですね。
インフレ不可避の世界
米国では、2022年1月の消費者物価指数が前年同月比7.5%の上昇となり、約40年ぶりの物価高に見舞われています。
日本でもガソリン高や食料品の値上げなど、日々の生活にも影響が出始めてきました。これは一時的なものなのか?
今後、私たちの生活はどうなるのか?本書では、投資運用の世界で50年のキャリアを持つ「さわかみファンド」創設者で、長期の見通しをもとに圧倒的な実績を残している長期投資のパイオニア、澤上篤人氏の見解をまとめました。
氏は本書で、「想像を絶するひどい事態を、いかに軽傷でやり過ごすかを考えておきたい」と語ります。
株式・国債・不動産など多方面に影響が及ぶこと、そして今般のインフレが制御不能なマネーの暴走に発展することを、丁寧に解説します。
■目次
第1章 今回のインフレ、甘くみてはいけない
第2章 金融緩和バブル、崩れは近いぞ
第3章 露呈しだした張りボテ経済の限界
第4章 金融緩和政策、なんだったのか?
第5章 バブル崩壊、インフレ、財政危機
第6章 世界の運用の「常識」が総崩れに
第7章 長期投資の復活
第8章 年金問題、こうすれば解消できる
第9章 バブル崩壊とインフレ襲来、どう乗り切るか
第10章 「お金をまわす文化」を高めよう