夢を管理する【ドリーム・ハラスメント】

夢を管理する【ドリーム・ハラスメント】

・夢を管理する

・ドリーム・ハラスメント

いずれも最近初めて知った言葉です。

 

夢を管理する

アエラに隔週連載している内田樹さんの「児童生徒の夢を管理したがる文科省 最短距離・最短時間=最善ではない」という記事を参照してください。そもそも夢だけでなく、何においても、管理されたい人なんかいないでしょう。管理することでしか存在価値を主張できない人がいる弊害かと思いますが、大企業病の会社ならまだしも、子供の教育にまで踏み込んでくるのは良くないです。

「夢」という言葉が子どもたちにとって抑圧的なニュアンスを持つ言葉になったという話を高校の先生から聞いた。「君の将来の夢は?」と質問されると、気持ちが暗くなるという高校生が増えているという。

 

「夢」を実現するためにどういう学校のどういう学部学科に進学するのか、いつまでにどのような知識や技術を体得するつもりなのかを開示せよということが学校から求められるからである。

 

「夢」は評価や管理と最も縁遠いもののはずである。人間を管理することへのこの狂気じみたこだわりはもはや日本社会に取り憑(つ)いた病という他ない。

 

ドリーム・ハラスメント

「ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち (イースト新書) 新書 – 2020/6/10」を基にした論考のようです。一読の価値ありです。

■武道家 内田樹氏
呪符として機能している「夢を持て」「自分らしく生きろ」という言葉の負の効果に、我々はもっと恐怖心を持つべきである。

■思想家 田坂広志氏
若者に「夢を持て」と語る大人は、必読!

■経営学者 野中郁次郎氏
計画・分析偏重の呪縛から逃れよ。「いま・ここ」の直接経験から見えてくるのが「生き方」だ。

■教育改革実践家 藤原和博氏
私には夢がなかった。リクルートに憧れはなかったし民間校長になる夢を見たこともない。「教育改革実践家」は52歳の私があとづけで付与した肩書きだ。

 

夢の強要。その罪と害

犯行の凶器は、「夢」でした。タチの悪い悪意無き共犯者たちによる「夢を持て」の大合唱。その陰に隠れて黙殺されてきたドリーム・ハラスメントという実態。数々のインタビュー・文献調査から浮き彫りになったのは、夢を持てずに苦しむ直接的被害者と、意外な間接的被害者の存在。誰も夢から逃れられないのに、誰も夢の持ち方は教えてくれない。夢に支配されない生き方も提示されない。只々「夢は善」と妄信させるだけ。夢を持てないとヒトは死ぬのか。そんなにも社会は生きづらいのか。教育関係者自らが、教育界の長年のタブーをえぐり出す。

 

第一章 夢に食い殺される若者たち
どこへ行っても夢まみれの社会
夢はただの後付け物語
夢にねじ曲げられる若者の個性
正解志向と忖度力は当然の帰結

 

第二章 職業以外の夢が認められない異常
「夢=職業」という画一的な夢観
曖昧にしてきた夢の定義
職業観の変遷と夢化

 

第三章 タチの悪い悪意無き共犯者たち
悪意無き教師と保護者
教師という職業的宿命
教師を動かしたもう1人の犯人
夢は大量生産できなかった日本

 

第四章 夢を持たないとヒトは死ぬのか
『夢をかなえるゾウ』の空白地帯
夢を持たない生き方
大きな夢より小さな成功体験

 

第五章 それでも夢を持たせたいならば
近くを見よという逆説
夢は宿るもの
実現しても終わりではない夢の続き
夢のある社会への改築こそ大人の仕事