インフレ率を比較する【日本vs世界】

インフレ率について

日本銀行は、消費者物価の上昇率(インフレ率)を年2%とする「物価安定の目標」を掲げ、大規模金融緩和などの金融政策を行っています。

「毎年2%ずつ物価が上昇する」という日本銀行の目標について、実現は難しいという意見が多いですが、ひとまず実現するか否かはさておき、日本と世界各国のインフレ率を比較してみようと思いました。

1.世界のインフレ率ランキング

2020年のインフレ率ランキングは下表の通りです。

インフレ率1位のベネズエラは2355%と驚異的な数字になっていますが、政情不安定なインフレ率上位国と日本を比較してもあまり意味がないでしょう。

主要国のインフレ率を抜き出してみました。

日本のインフレ率は-0.02%です。順位は161位と下から30番目です。主要経済大国の中では最低水準です。特に、経済関係の深い中国(2.39%)とアメリカ(1.25%)と比べて、著しくインフレ率が低いことが分かります。むしろ、インフレ率が低い状態が長期に渡って続き過ぎており、その弊害が各所にでてきていることが気になります。

日本銀行のインフレ率2%という目標は、中国やアメリカと同じインフレ水準にしようというだけのことで、決してハイパーインフレを推奨している訳ではないということが分かります。

33位   インド 6.20
65位   ロシア 3.38
68位   ベトナム 3.22
94位   中国 2.39
99位   インドネシア 2.03
116位   アメリカ 1.25
121位   オランダ 1.12
128位   イギリス 0.85
133位   カナダ 0.72
141位   韓国 0.54
148位   ドイツ 0.37
161位   日本 -0.02
164位   イタリア -0.15
165位   台湾 -0.17
178位   スイス -0.73
180位   タイ -0.85
188位   UAE -2.07
189位   バーレーン -2.32
191位   カタール -2.72

2.日本とアメリカのインフレ率比較

日本とアメリカのインフレ率比較です。ほぼ一貫して、日本のインフレ率はアメリカを下回っています。2000年以降は、インフレ率はほぼゼロに這いつくばっています。日米のインフレ率の違いが、為替や経済競争力に悪影響を及ぼすことがないか、検証が必要だと思います。

 

3.日本と中国のインフレ率比較

日本と中国のインフレ率比較です。2000年以前は、中国のインフレ率が非常に高く、乱高下することも多く、不安定です。しかし、急激な経済成長を遂げた2000年以降は、ほぼ一貫して、日本のインフレ率は中国を下回っています。日中のインフレ率の違いが、為替や経済競争力に悪影響を及ぼすことがないか、検証が必要だと思います。