富裕層とは
野村総合研究所から「日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円」との推計結果が公表されました。富裕層の実態について知ることができる貴重な情報だと思います。この調査は2年毎に行われているようです。
預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた「純金融資産保有額」を基に、総世帯を5つの階層に分類し、各々の世帯数と資産保有額を推計しました。結果は、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」、および同5億円以上の「超富裕層」を合わせると132.7万世帯で、内訳は、富裕層が124.0万世帯、超富裕層が8.7万世帯でした。
富裕層と超富裕層をあわせた2019年の世帯数は、2005年以降最も多かった2017年の合計世帯数126.7万世帯から6.0万世帯増加しました。富裕層・超富裕層の世帯数はいずれも、安倍政権の経済政策(「アベノミクス」)が始まった後の2013年以降一貫して増加を続けています。
1.純金融資産
野村総合研究所の公表値に基づき、純金融資産データを整理してみました。
1.1.純金融資産(兆円)
2019年の各階層の合計値は約1500兆円です。日本の個人金融資産額と概ね一致するのでしょうか。各階層の純金融資産額を見ても、あまりピンとこないというのが正直なところです。
1.2.純金融資産(構成比率)
各階層の構成比率を見たほうが分かりやすいです。資産5億円以上の超富裕層、資産1億円以上の富裕層が増加しています。
2.世帯数
野村総合研究所の公表値に基づき、世帯数データを整理してみました。
2.1.世帯数(万世帯)
資産5億円以上の超富裕層、資産1億円以上の富裕層が、130万世帯もいるとは驚きです(2019年)。2005年から2019年にかけて世帯数そのものが増加している点も気になります。高齢者の一人暮らしが増えている影響かと思います。
2.2.世帯数(構成比率)
資産5億円以上の超富裕層、資産1億円以上の富裕層は、2.5%程度のようです。身近にいないのも納得です。資産3000万円以下のマス層が80%程度というのも納得です。このマス層を細分化して調査しないと、社会課題の解決には繋がらないと思います。野村総合研究所は富裕層向けビジネスの一環としてこの調査をしているでしょうから、マス層の詳細調査をやるメリットはないのでしょうね。
3.日本人の富裕層:年齢別内訳
富裕層の年齢別内訳は以下になります。56歳以上の方々が80%に上ります。長年勤めてきたこと、退職金を得ていること、そもそも金融資産を保有していた、など理由はいろいろあると思います。
ただ、高齢富裕層から、教育費など資金需要の多い若い世帯に所得移転することは必要だと思います。
一方、45歳以下で富裕層となっている方々も8%程度おられます。若いうちに資産形成に成功すると、人生の選択肢が格段に増えるので、素晴らしいことだと思います。
カネさえあれば良いという考え方には賛同できませんが、富裕層から学べるところは学びたいと思います。