【2026年3月予測】ゴールドは「軍事的緊張」と「チャートの節目」をどう突破するか? 徹底考察
はじめに:なぜ今、ゴールドが注目されているのか
現在、ゴールド($XAU/USD$)は1オンスあたり5,000ドルという、数年前には想像もできなかった高値圏で推移しています。しかし、価格が高いからといって「もう上がらない」わけではありません。
相場には「形(テクニカル)」「心理(需給)」「背景(ファンダメンタルズ)」の3つが揃ったとき、爆発的な動きを見せる性質があります。今、まさにその3つが重なり合おうとしているのです。
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1. テクニカル分析:アセンディングトライアングルが示す「エネルギーの充填」
現在のゴールドの日足チャートを見ると、「アセンディングトライアングル(上昇三角もち合い)」という非常に教科書的なパターンが形成されています。
アセンディングトライアングルとは?
これは、上値の抵抗線(レジスタンス)が水平であるのに対し、下値が徐々に切り上がっている状態を指します。
上値が重い理由: 利益を確定したい勢力や、過去の高値で損を出している勢力の売りが並んでいる。
下値が切り上がる理由: 「安くなったら買いたい」という需要が以前よりも高い位置で発生している。
この形は、売り手の抵抗を買い手の熱量が少しずつ押し潰している状態であり、一般的には「上に抜けやすい(強気の継続)」サインとされます。
1月末の「しこり」をどう解消するか
この分析における最大の課題は、1月末に発生した急騰・急落です。この際、高値圏で飛びついて買ってしまった投資家が多く存在します。彼らは現在、含み損を抱えた状態、いわゆる「捕まっている」状態にあります。
価格が再び高値に近づくと、彼らは「ようやく損をせずに逃げられる(建値決済)」という心理から売り注文を出します。これが上昇を阻む壁となります。この「しこり」を解消するには、それ以上の「新しい買い手(外部流動性)」が必要なのです。
2. 需給の裏付け:累積出来高デルタ(CVD)の変化
チャートの形以上に重要なのが、市場の「やる気」を数値化した累積出来高デルタ(CVD)です。
CVDが示す「本気度」
CVDとは、市場での「成行買い」と「成行売り」の差を累積したものです。
2月に入ってから、ゴールドの価格が横ばいまたは微減する中で、CVDも低下し続けていました。これは「積極的な買い手が少ない」ことを示していました。
しかし、直近でこの方向性が上向きに転じようとしています。
価格がトライアングルの上限を試すタイミングでCVDが上向きに変わることは、「戻り売りの壁を、力技で買い叩こうとする大きな資金が入ってきた」という強烈なリバーサルサインになります。これが成立すれば、1月末の「しこり」は一気に解消されるでしょう。
3. 季節性の優位性:3月のゴールドはなぜ「堅調」なのか
アノマリー(統計的な傾向)の視点からも、現在の状況は理にかなっています。
2月の軟調: 歴史的に2月はゴールドにとって調整の月となりやすい時期です。中国の旧正月(春節)後の需要一服や、新年度に向けたポジション整理などが影響します。
3月の堅調: 一方で3月は、欧米の機関投資家が新たな投資戦略を実行に移す時期であり、またインフレ指標や年度末の不確実性を嫌った資金が安全資産へ流れやすい傾向があります。
「2月に力を溜め、3月に爆発する」というシナリオは、過去のデータとも合致しており、現在の「トライアングル形成」というテクニカルな動きを後押ししています。
4. 地政学リスク:米軍の空母集結と「10日間の最後通牒」
ここまでは市場内部の話でしたが、今、市場の外部から巨大なエネルギーが注ぎ込まれようとしています。それが中東・イラン情勢です。
圧倒的な軍事力の展開
現在、米国はイランを包囲するように空母打撃群を配置しています。
空母エイブラハム・リンカーン(CVN-72): すでにアラビア海に展開。イランの南側から圧力をかけています。
空母ジェラルド・R・フォード(CVN-78): 世界最強の最新鋭空母が現在地中海を東進中。2月24日〜25日頃には東地中海に到着し、イランへの航空作戦が可能な圏内に入ると予測されます。
2隻の空母が配置につくということは、外交的な交渉が決裂した際、即座に大規模な軍事行動が可能になることを意味します。
「10日間」というデッドライン
トランプ大統領は2月19日、イランに対して事実上の最後通牒を突きつけました。「10日以内(Next 10 days)に答えを出せ」という言葉の期限は、3月1日前後に設定されています。
この期限は、前述した「3月の堅調なアノマリー」と完全に一致します。
期限が近づくにつれ: 恐怖心からゴールドを買う資金が増えます。
期限が切れる3月1日: もし合意に至らなければ、有事の買いが爆発し、チャートの「トライアングル」を突き抜ける決定的な要因(流動性)となります。
5. 外部流動性の正体:誰がゴールドを買い支えているのか?
「外部流動性を得られるかどうか」という課題に対し、その供給源はどこからやってくるのでしょうか。
中央銀行の「脱ドル化」需要
現在、中国やインドを中心とした中央銀行は、ドルの依存度を下げるためにゴールドを買い続けています。彼らは価格に関係なく「量」を確保しようとするため、価格の下値を支える強力なサポートとなります。これが「トライアングルの下値切り上げ」の正体です。
機関投資家のポートフォリオ再編
米国の軍事行動やインフレの再燃を懸念した機関投資家が、ポートフォリオの数パーセントをゴールドへ振り替えるだけで、市場には数千億ドルの流動性が流れ込みます。これが「1月末の売り勢力」を飲み込む巨大な波となります。
6. リスクと注意点:投資家が陥りやすい罠
この分析は非常に妥当性が高いものですが、相場に「絶対」はありません。以下のリスクには注意が必要です。
電撃的な合意(ディール): トランプ大統領は「予測不能なディール(取引)」を好みます。期限ギリギリでイランと電撃的な合意に至った場合、軍事的な緊張が緩和され、ゴールドに逃げていた資金が一気に逆流(急落)する可能性があります。
ブレイクアウトの「ダマシ」: トライアングルを一度上に抜けたように見せてから、1月末の売り勢力に押し戻されるパターンです。抜けた後に、そのラインが「サポート(床)」として機能するかを確認することが重要です。
7. 結論:私たちはどう向き合うべきか
現在のゴールド市場は、単なる「値動き」を超えた、歴史の節目に立ち会っています。
テクニカル: アセンディングトライアングルという「準備完了」の合図。
需給: CVDが上向き、買い手のやる気が再燃。
ファンダメンタルズ: 米空母の到着と、3月1日のデッドラインという「着火剤」。
これら全ての要素が「3月の上昇」という一点に向かって収束しています。1月末の売りをこなすだけの流動性は、現在の緊迫した地政学リスクによって十分に供給される可能性が高いと言えるでしょう。
今後のチェックリスト
2月25日: 空母フォードが展開を完了し、緊張が一段階上がるか。
2月27日〜28日: チャートがトライアングルの上限(レジスタンス)に到達し、出来高が増えているか。
3月1日: トランプ大統領の「10日間」の答えがどう出るか。
おわりに
投資において「確実」なことはありませんが、情報の点と点を結びつけ、論理的な線(シナリオ)を描くことは可能です。今回のゴールドの考察は、まさにその「線」が非常に太く、明瞭に見える稀有なケースと言えます。
不確実性が高まる3月に向けて、この「黄金のシナリオ」がどう現実化していくのか。一歩引いた冷静な視点と、熱い期待を持って市場を注視していきましょう。
