「r > g」が示す残酷な真実:あなたの労働だけでは豊かになれない時代
経済学者トマ・ピケティが提唱した有名な法則「r > g」。
これは、r(資本収益率:株式や不動産などのリターン)が、g(経済成長率=賃金上昇率)を上回るという、現代社会における貧富の差拡大のメカニズムを示しています。
このシンプルな不等式が意味するのは、「労働だけでは豊かになれない」という、極めて残酷な現実です。
労働収入(g)だけではインフレにすら負ける
まず、g――つまりあなたの労働のリターン(賃金上昇率)を見てみましょう。
日本の名目賃金上昇率はわずか+1.5%程度にとどまっています。
これは、あなたがどれだけ努力しても、1年間で労働によって得られる価値の増加がたった1.5%しかないということです。
しかも、現在の物価高を考慮すれば、実質賃金はマイナスに転じています。
実際、最新の統計では実質賃金が8カ月連続のマイナス。
名目上は給与が上がっていても、それ以上に物価が上昇しているため、生活はむしろ苦しくなっています。
賃金上昇率(g)は平均的にGDP成長率とほぼ比例します。
つまり、経済が成長しない国では、どれだけ勤勉に働いてもリターンには限界があるのです。
今の日本のように長期停滞が続く環境では、
「労働だけに頼っている人ほど、貧しくなる構造」ができ上がってしまっています。
資本収益率(r)が生み出す圧倒的な差
一方で、r――資本のリターン(投資収益率)はどうでしょうか。
たとえば、世界経済を牽引する S&P500 の過去50年の平均リターンは約12%(名目)。
日本の 日経平均株価もアベノミクス以降で+13.11% という高いリターンを記録しています。
あなたの労働リターンが年1.5%、資本リターンが年12%。
この差は、複利効果によって時間とともに途方もない開きを生みます。
100万円を40年間運用した場合のシミュレーション
リターン率 | 40年後の金額 |
---|---|
年利1.5%(労働) | 約181万円 |
年利12%(資本) | 約9,347万円 |
なんと52倍の差です。
働く人と、働かせながら投資をする人のあいだで、
資産は雪だるま式に差が開いていく。
これこそが「r > g」が描く現代の格差社会の本質です。
投資は「贅沢」ではなく「必須スキル」
ここで大切なのは、「良い・悪い」という倫理の話ではありません。
世界がこのルールで動いている以上、私たちはそれに適応するしかないという事実です。
未だに「NISAは国の陰謀だ」といった誤解を信じ、
投資に強い嫌悪感を抱く人がいますが、
それは「r > g」の現実を理解していないと言わざるを得ません。
g(労働)だけに頼れば、インフレに負け、生活はどんどん苦しくなる。
だからこそ、r(投資)を味方につける必要があります。
「投資」はもはや生き残るためのリテラシー
戦後復興期や高度経済成長期のように、GDP成長率が非常に高かった時代には、
一時的に g > r となることもありました。
その時代を生きた人々の中には、
「労働=絶対正義」という価値観を強く持つ方も少なくありません。
しかし、私たちが生きる現代日本は、低成長時代。
経済構造が変わった今、「投資」はもはや贅沢やギャンブルではなく、
生存に不可欠なスキルなのです。
未来を守る第一歩を
少額からでも構いません。
NISAなどの非課税制度を活用して、
「資本収益率(r)」の恩恵を受ける行動を始めましょう。
「r > g」という冷徹な法則を前にして、
行動しないことこそが、最もリスクの高い選択なのです。
まとめ
- 労働のリターン(g)は停滞、インフレに負ける
- 資本のリターン(r)は長期的に圧倒的
- 投資はもはや贅沢ではなく、生き残るためのスキル