加谷珪一さんの経済ニュース超解説【2021/09/29号】【中国不動産バブルの行方】

加谷珪一さんの経済ニュース超解説

Newsweekに連載している加谷珪一さんの経済ニュース超解説がとても勉強になります。備忘と後学のため、抜粋メモを残していきます。

2021年09月29日号

恒大集団(中国・不動産大手)が経営破綻する懸念ありとのニュースを頻繁に耳にするようになりました。

恒大とは「(つね)にきくなろう」という意味が含まれているそうです。文字通り、不動産バブルが大きくなりました。問題はいつバブルがはじけるか、どのようなバブルのはじけかたとするか、だと思います。

不動産バブルの背景には、土地価格が値下がりすることはないという「土地神話」があります。土地神話(≒土地価格上昇)のきっかけは、金利の低下です。金利低下の背景は、経済危機(80年代の円高不況など)に対する政策であることが多いです。

土地価格の急上昇によって土地所有者など富裕層の資産は急拡大しますが、土地を持っていない一般庶民は家が買えなくなり、不満が爆発します。その不満を抑えるため、土地価格の上昇を抑制する政策を出しました。日本の場合、これがキッカケとなりバブル崩壊が起こりました。

今回の中国不動産バブル拡大も、かつての日本と同じ構図です。ただ、バブル拡大からバブル縮小(崩壊?)に至る道のりは、違う構図になるかもしれません。

恒大集団の問題をきっかけにして、中国不動産バブルがどのような経緯を辿るか、慎重に様子を見ていった方が良いと思います。

 

不動産大手・中国恒大集団が経営危機に陥っており、同社の破綻と中国版リーマン・ショックへの警戒感から、世界的な同時株安も発生した。

 

中国はこれまで著しい経済成長を実現してきたが、不動産価格は経済成長をさらに上回るペースで上昇を続けてきた。

 

中国の不動産バブルは80年代に発生した日本のバブル経済とよく似ている好景気と株高を背景に、不動産向け融資が拡大し、賃料に見合わない水準まで価格が上昇した。日本のバブル崩壊の引き金を引いたのは、土地の総量規制など政府による引き締め策だが、実は中国当局もこれに近い政策を実施している。

 

経済圏における総融資残高がGDPの1.7倍を超えると危険水準に入ることが分かっている。今の中国は2.2倍。これはかなりの危険水準であり、何らかの処理が必要なのは間違いない。

 

中国はかつて文化大革命を行った国であり、一部の国民が犠牲になったとしても権力闘争や秩序維持が優先される。西側諸国とは基本的な価値観や制度が異なっており、われわれの感覚でいうところのバブル崩壊は発生しにくいと考えたほうがよいだろう。

 

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